【主題】
「企業の歴史と現在」がテーマです。日本経済については、政府の役割や制度の果たす役割について語られることが多いが、日本企業の歴史的な発展を見れば、その時代時代の転換点において、企業家精神を発揮して決断した企業家の存在が指摘できます。新事業や企業組織の革新を切り拓いた企業家の役割に注目して、企業史、日本企業の発展過程を見たい。
併せて、企業が社会経済の重要な構成要素となっていることから、企業や企業家の経営的な側面だけでなく、切り拓いた社会経済活動の新たな分野についても注目していきたい。
【指導方針概要】
テキストの内容に沿って、明治以降の企業と企業家の果たした役割について理解することが中心となります。
日本の企業史は、幕末開港・明治維新以来の経済環境の激変の中、工業化の担い手として、企業家精神を発揮した企業家の登場に彩られています。その企業家精神は、外国資本との競争、政府の推進する政策に規定されながらも、新たな産業分野を開拓して来ました。この時代を代表するのは、幕末維新期に登場し、企業組織を作り上げた企業家である岩崎弥太郎、安田善次郎などであり、企業組織を完成させた伊庭貞剛、益田孝など財閥系の企業家であった。日露戦後から、第一次大戦にかけての科学技術革命による新事業を担ったのは、電力事業に関連した小林一三や松永安左エ門、重工業に拠点を求めた鮎川義介などであった。第二次大戦後の、大衆消費社会を開拓したのは、電化製品や自動車、音響機器などの新事業に拠った松下孝之助や本田宗一郎、盛田昭夫などであった。1980年代以降の情報通信革命を担う、日本電気や富士通などの事業多角化は池田敏雄などの先駆的な役割によっていた。国際的な企業間競争による新規事業の絶えざる登場という経済環境の変化に日本企業は如何に対応してきたのかについても取り上げたい。併せて、企業、企業家が推進した社会的な活動についても企業経営との関わりで検討したい。
講義は、テキストの学修だけでなく、企業施設や博物館の見学や具体的な産業・企業の調査をはさみながらすすめたい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
テキスト | 『日経文庫 日本の経営者』 日本経済新聞社編 日本経済新聞出版社 2009 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【学生に対する希望事項】
講義は、グループに分けて、その都度、グループごとに、発表、質問、司会、記録を担当して進める予定ですので、毎回の出席は必須です。講義への積極的な参加が成績評価の判断材料となります。
さらに春学期・秋学期末にそれぞれレポートの提出を義務付けていますので、成績は、講義時の「活躍」と提出レポートによる評価となります。